先日、テナント向け説明会がありました。「再入居希望のテナントも一旦転出届を出してもらう。竣工後、あらためて賃貸借契約を結ぶことになる。覚書を交わして優先権を保証するので心配ない」ということでした。転出するわけではないのに転出届を出すしかないのでしょうか?
その必要はありません。都市再開発法上、再入居(権利変換)したいのであれば転出届を出さないことになります。その場合、権利変換計画に借家権があることが明記されます。一旦転出してしまうと覚書を交わしてもテナントとしての地位は不安定になります。
審査委員選任にあたって地権者が注意すべき点はありますか?
審査委員は他の再開発で組合の顧問として活動しているのが通常です。しかし、審査委員は、たとえば権利変換計画に対する意見書に対し組合が採択すべきでないという意向を示した場合に、組合、意見書提出者という意見の対立する者の間にたって厳正中立な立場から判断を下すことが求められます。確かに別の組合の顧問であったからといって、常に組合側にたって判断を下すわけではないでしょうが、権利変換計画に対する意見書の内容は再開発地区に関わらず同じようなものがあるでしょうから、顧問として組合寄りであった者が審査委員になった途端に厳正中立になるといえるかは甚だ疑問です。その意味で他の地区で組合の顧問であった者は審査委員になれないとするのが合理的だと思います。しかし総会でそのような議論を経て選任されていないのが実情です。議論の前提として組合側に情報開示を求めることなどが重要だと思います。また公正さが疑わしい場合は他の専門家と交代するよう求めていく(裁判官の忌避申立てと同様)ことも考えられます。
審査委員が同意するにあたって何か手続きをふむのですか?
通常は審査委員3人が組合の事務所等に集まって審査委員会を開催します。手続きの詳細は組合設立総会で審議される審査委員会要綱に定められています(但し、組合によっては審査委員会要綱を総会で審議しないこともあります)。
審査委員候補者はどうやって決まるのですか?
審査委員候補者は準備組合事務局で適宜決めるようです。おそらく過去に別の再開発で関係のあった専門家にあたりをつけるものと思われます。
審査委員として適任かどうかの判断材料はあるのですか?
議案書に審査委員の氏名、年齢、関与した再開発の実績等が書いてあるのでそれをみて判断することになります。
審査委員はどうやって決まるのですか?
「土地及び建物の権利関係又は評価について特別の知識経験を有し、かつ、公正な判断をすることができる者」のうちから総会(通常は組合設立総会)で選任します。審査委員は3人であるのが通常で、弁護士、税理士、不動産鑑定士1名ずつの構成がほとんどです。総会で選任するにあたって審査委員候補として提示されます。総会で過半数が同意すれば選任となります。
審査委員とは何をするのですか?
「過小床の面積の基準」「権利変換計画の決定、変更」「権利変換計画に対する意見書を採択するか否かの決定」「通損補償額について協議が成立しない場合に組合が払うべき通損補償額」について同意します。審査委員(通常3人)の過半数の同意が得られない場合には、組合は手続を先に進めることができません。
再開発区域内に土地建物があり、高齢の両親が居住しています。私は長男ですが弟がいます。両親は、死んだら不動産は私に与える、とかねがね言っています。相続の関係で何か注意すべき点はありますか?
権利変換前に両親が亡くなってしまうと、遺産分割登記できないまま権利変換になるおそれがあります。そうなると法定相続分に従って土地建物を権利変換することになります。単独で取得できたはずの床が2分の1の広さしか取得できなくなるおそれがあります。
弟さんとの間ですぐに遺産分割協議がまとまるようにしておくか、あるいはご両親に遺言を書いてもらうか、いずれかになります。
駅前の集客力がすぐれた場所を借りて営業しています。再開発ビルで営業できるそうですが賃料は大幅にアップするし以前のような集客ができるとも思えません。どうにかならないのでしょうか。
確かにそのとおりです。しかも都市再開発の場合はテナントは転出によって法外な立退料をとるというのは現実的でありません。ただ都市再開発の場合はテナントに特定分譲といって再開発ビルの区画を比較的安く買う権利が認められることがあります。もちろん資金は必要ですが補償金交渉で原資を増やすなどしてオーナーになる方法があります。なお、特定分譲をうける場合は転出する(借家権消滅申出書を組合に提出する)ことが条件となります。テナントに十分な情報が行きわたらないこともあるのであらかじめアンテナを張り巡らしておく必要があります。
自己所有の建物で自営で飲食店を経営しています。再開発ビルでも飲食店を続ける予定です。工事期間中に仮店舗で営業するのですが売上は大幅に減る見込みです。これは再開発の結果ですから組合に営業補償して欲しいと言ったところ「ほとんど出ない」の一手張りです。このまま赤字覚悟で仮店舗を借りて営業するしかないのでしょうか。
お気持ちはわかります。しかし再開発の補償では個別の事情は考慮しない傾向にあります。売上が大幅に減るというのは個別の事情です。不当な理屈と思われるでしょうが、ここで理屈を変えて「出させようとしても」疲弊するだけです。再開発の補償には逆に個別の事情を無視して「出してくれる」補償もあります。そちらで攻めるのがいいかもしれません。
