都市再開発 Q&A
Q1
A1
その必要はありません。当然、工事期間中は仮移転しますが、再開発ビルが完成したら戻ってくることができます。
Q2
A2
組合がそのようなことを言っても真実とは限りません。テナントが残るケースも沢山あります。惑わされないようにして下さい。
Q3
A3
このように言われても簡単に転出するべきではありません。組合からは漠然とした条件しか言われないかもしれませんが、だからといって権利を安易に放棄しないことです。都市再開発でテナントに確実に保障されているのは権利変換だけです。このカードを使って組合や大家に対抗していくしかありません。
Q4
A4
組合設立認可公告から30日というのは最初の評価基準日のことです。「評価基準日」において物件の評価をしますのでその日までに権利変換するか転出するかを組合に届ける必要があります。しかし都市再開発法上、評価基準日は6ヶ月毎に更新されます。すなわち、最初の評価基準日から6ヶ月以内に縦覧が開始されない場合は評価基準日は6ヶ月後遅くなります。このように更新された場合は新しい評価基準日の翌日から30日以内に転出申出をやり直すことができます。組合設立認可公告から縦覧開始まで6ヶ月以上かかる再開発も多く、その場合は評価基準日が変わるので転出申出を急いでする必要はありません。なお転出申出期間経過後は転出申出できないのが法の建前ですが、組合が例外的に認めている場合があります。これは組合が転出申出をなるべくして欲しい(出ていって欲しい)場合です。法の建前とは異なるので説明会などオープンな場では組合の説明が歯切れ悪くわかりにくことがあります。
Q5
組合が書面で提示してきた補償額が低すぎると思うのですがどうしたらいいですか?
A5
組合と協議します。どうしてもまとまらない場合は都道府県の収用委員会に裁決の申請ができます。ただ組合との協議で増える場合は少ないし裁決で増える場合も多くありません(裁決申請は実費がかなりかかります)。弁護士を依頼して交渉するか訴訟でしょう。
Q8
A8
引っ越しが早すぎると補償がもらえません。組合設立認可公告があった日から30日経過した日(評価基準日)以前に地区外に転出してしまうと補償の対象から外されてしまいます。転出のタイミングに十分注意して下さい。なお、これとの関係で、定期借家契約への切り替えには応じないのが基本と考えて下さい。定期借家契約になりますと期間満了と同時に契約関係がなくなってしまいます。その時期が評価基準日の前に来ますと再開発から自動的に外されてしまいます。都市再開発法上の権利はすべて喪失します。賃料を大幅に減らすなどともちかけられても応じないことが重要です。なお評価基準日は組合の都合で6ヶ月延期されることがあります。基準になるのは原則として権利変換計画縦覧に一番近い評価基準日です。どんどん延期されているうちに契約を解除してしまい権利を失うこともありうるので細心の注意を払って下さい。ただ組合によっては縦覧に一番近い評価基準日でない(もっと早い)こともあるので組合によく確認して下さい。
Q9
A9
都市再開発法97条の「通常受ける損失」の「補償」(これを「通損補償」といいます)です。通常のテナントの場合、「工作物補償」「動産移転補償」「借家人補償」「営業休止補償」「移転雑費補償」などが払われます。なお、転出する場合に都市再開発法91条の「借家権補償」が支払われるかは1つの大きな問題です。なお、借地借家法上の立退き料が払われる場合もあります。転出を条件に解決金という名目で払われるのが通常です。
Q10
A10
それは危険です。確かに、補償額について組合はテナントと協議する義務を負いますが、最後まで協議が成立しない場合は審査委員の過半数の同意をとって補償額を決めてしまうことができます。テナントは、これに対し、収用委員会に不服申立て(補償裁決申請)をすることは可能ですが、結果が出るまで時間がかかる反面、不服申立てが認められる可能性は低いといえます。また、組合は自分で決めた補償金を供託してしまえば当面テナントに支払う義務もないので、テナントは自腹で移転しなければならないことになります。増額してもらうおうと思っていたら突然交渉を打ち切られて明渡しを迫られるというケースは結構あります。徹底抗戦するのであれば「居座り」は逆効果です。
Q11
A11
組合は補償基準を作成しています。そしてその補償基準にもとづいて補償額を提示してきます(その用紙を「個票」といいます)。補償基準そのものは誰が交渉しようと変わりません。しかし補償額についてはそうではありません。ただ交渉だけでは組合は原則として折れないので訴訟を有効活用する必要があります。
Q12
A12
従前資産額に不服がある場合は積極的に交渉していかないとそのままの額を基準に権利変換されてしまいます。組合の評価基準が妥当か含めて交渉することになります。またこの分野は不動産鑑定士の助けを借りないと交渉困難です。
Q18
A18
素朴な疑問です。再開発の大きな特徴は、区域内に組合事務所があり、担当者が常駐して、頻繁に相談にのってくれることです。しかし、再開発は慈善事業ではありません。一見親身にみえますが、組合に不利益なことは教えてくれません。この点は大きな誤解があるようです。決して間違っているわけではないが、組合に不利益になるあそれのあることは隠す、曖昧にするなどは常套手段です。そこを問いただしていかないと組合(実際は参加組合員であるデベロッパー)の利益が最優先されてしまいます。また「弁護士さんに相談されるんですか?弁護士費用かかるだけですよ。組合にも顧問弁護士がいますからご紹介しましょうか」などと言ってくる組合さえあります。組合の顧問弁護士が中立であるはずはありません。
Q13
A13
署名押印は慎重にして下さい。署名押印してしまうと物件調書の内容が真実だと推定されてしまいます。これを後で覆すのは大変です。十分検討しておかしいと思ったら署名押印せず専門家に相談して下さい。なお署名押印をしないで放置していると区職員が立ち会って署名押印して先に進んでしまいます(吏員立会い)。その前に相談することが重要です。
Q14
A14
建物調査は「正当な理由」がない限り拒めません。「正当な理由」があると言って突っぱねるのも可能ですが、建物の外観などから物件調書を作成されてしまうことになるので、権利変換、補償の点でかえって不利益です。建物調査のやり方につき要望があるのであれば事前に調査会社と取り決めておくべきでしょう。
Q15
A15
主に2つあります。1つは新しく入ったテナントが再開発にあたってきちんと退去するよう慎重に契約条件を決めることです。もう1つは建物調査の前に改築することです。組合設立の前後でも変わってきますので(準備)組合と十分協議することが必要です。建物調査の後に改築すると建物評価に改築が反映されません。
Q16
A16
組合によっては家賃欠収補償として払ってくれる場合があります。(準備)組合に相談して下さい。まず理事会、総会で補償規程を承認する必要があります。組合の事務局に強く要求して下さい。
Q17
A17
実は一番深刻な問題です。居座りを決め込んでも、行政に相談してもよくありません。再開発は先に進めば進むほど止められません。都市計画手続きの段階(できれば都市計画手続きに入る前)で当事務所にご相談下さい。都市計画決定後はどうにもならなくなります。