再開発における補償交渉・権利変換・交渉サポート専門の弁護士

武蔵法律事務所

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都市再開発の権利変換・補償の交渉のツボ

再開発の交渉のツボ

まず、再開発の交渉全般においていえることからです。

「1人にならない」

再開発では1人にならないことが重要です。自分で交渉できる、と思って組合との交渉に臨む方が多いですが、組合側と交渉経験の差が圧倒的であることから組合側に押し切られます。なお、中には交渉さえ拒否する方もいます。交渉自体無駄だと思っているのかもしれませんが、これでは孤立してしまいます。交渉しないことで組合側に与しない姿勢をアピールし、組合側が折れてくるのを待っているのかもしれませんが、それで組合側が折れることはまずありません
また、総会や説明会で1人で反対意見を述べる方もいますが、往々にして「ガス抜き」にされるのと、他の組合員にあまりいい印象を与えないことになりがちです。大抵の場合「あとで個別にご説明します」ということで終わります。「個別交渉に持ち込む」というのが組合の基本的な作戦です。個別交渉にもちこめば、組合側は多くの場合、3人で交渉に臨みます。3人で役割分担します。1対3ではかないません。

「弁護士などの専門家の協力を得る」

しかし実際は様々な理由で1人で交渉に臨む方が多いです。

再開発の場合、組合側は交渉に応じるスタンスをとります。説明会や報告会を頻繁に行い資料を配布して説明するなど非常に良心的にみえることが多い。しかも大手デベロッパーの社員が出向してきたりしますから会社の名前で信用してしまう人もいるでしょう。「いくらでも説明しますから組合の事務局にお越し下さい」と言われれば「なんて良心的なんだろう。これは任せておけばいいんだろう」と思うのもわかります。
しかし彼らは組合側に都合のいい流れになっているときは極めて精力的に動きますが、組合側に都合の悪いことは隠すことがあります。様々な説明資料を配布しながらも、組合に都合の悪い部分は説明会でスライドをほんのちょっと見せるだけということもやります。苦し紛れに何らかの対応を約束したとしても最後はうやむやになることがあります。そこで文句を言うと今度は組合側の顧問弁護士が出てきて法的手段となります。こういう事態を避けるためには、いくら理事が地元の名士であっても、行政の責任者が総会に出てきていても、組合側が話せばわかるような感じであっても弁護士などの専門家に依頼したほうが賢明です。最後に裏切られた、というような話は本当に多いのです。

組合側は大体シナリオを考えており、一応要望は聞く、実現するよう尽力するような姿勢をとりつつ、最後は「難しい」となります。再開発はスケジュールが決まっていますので最初のはリップサービスに過ぎず、時間稼ぎされただけということになってしまいます。これに対し組合側は弁護士にはリップサービスをしませんので、弁護士も交渉する時間的余裕ができるわけです。
なお、弁護士は再開発問題に詳しい必要があります。詳しいかどうかは30分程度法律相談をすればすぐわかります。組合の説明会などで配布する資料で不明な点をいくつか聞いてみて下さい。当事務所は「関与した再開発」をサイトで公開しています。「主な作業内容」は進捗に応じ更新しています。

次に、再開発の交渉で問題になるのは補償金、権利変換ですから項をわけて説明します。

「再開発の補償金の交渉のツボ」

補償金といっても2種類あります。都市再開発法91条による補償と97条による補償の2つです。91条による補償は土地や建物の所有権などについての補償で「権利補償」ともいいます。97条による補償は移転に伴い通常生じる損失の補償で「通損補償」ともいいます。以下「権利補償」「通損補償」と呼んだほうが区別しやすいのでそうします。

権利補償はたとえば再開発で転出してしまう場合は補償金として支払われます。これに対し再開発で転出せず権利変換をうける場合は補償金という形で支払われるのではなく新しいビルに対する権利に変換されます。後者は権利補償そのものではないですが、それをもとに等価交換されるのでここでは権利補償として一緒に検討することにします。

権利補償にしましても通損補償にしましても組合で決めた補償基準に従って決まります。組合の補償基準も用対連基準というものに大体準拠しますので自由に決められるものではありません。

補償金交渉のツボは補償金交渉の内情を知ることです。当然、組合は熟知しています。一方、権利者にはよくわからないのが通常です。どの補償がどういう交渉でどこまで増えるのかを熟知した弁護士に依頼して下さい。組合はいざとなれば自分で決めた金額を法務局に供託して交渉を打ち切ることができます。あとは補償裁決を収用委員会に申請して下さいということになります。これはいい流れではありません。「多数いる権利者の中での自己の優先順位を上げさせる」ということが重要です。優先順位の高さは様々な要因で決まります。最初からどうにもならないものは別として、専門家の力を借りることで優先順位を上げる要因を作ることができます。また、補償基準に従ってしか増えないのがほとんどですが、補償基準のどこで増額できるかは組合との阿吽の呼吸でわかる場合があります。その場合はそれにうまく対応することも重要です。およそ増額できないところであくまで交渉しようとしたのでは決裂するしかありません。

「再開発の権利変換の交渉のツボ」

権利変換についても組合で従前資産評価基準、権利変換基準を作成します。この基準をもとに従前資産を評価し、それをもとに権利変換計画案をいくつか示してくるはずです。
ここではまず従前資産評価の交渉、さらに権利変換の交渉が重要です。どちらも、組合は熟知しています。一方、権利者にはよくわからないのが通常です。権利変換がどういうプロセスで決まるのかを熟知した弁護士に依頼して下さい。組合はいざとなれば自分で権利変換計画案を作成し、あるいは法務局に供託して交渉を打ち切ることができます。あとは裁決申請や審査請求をして下さいということになります。これはいい流れではありません。「多数いる権利者の中での自己の優先順位を上げさせる」ということが重要です。優先順位の高さは様々な要因で決まります。最初からどうにもならないものは別として、専門家の力を借りることで優先順位を上げる要因を作ることができます。なお、交渉も重要ですが、組合の言い分を全く無視して独自に動く(動かない)というのは得策でありません。通常、希望住戸申出期限が提示されます。たとえ組合の従前資産評価に不満があってもこの申出は行う必要があります。そうでないと後で不利益を被る可能性があります。もちろん希望住戸申出を行う=組合の従前資産評価を認める、ではないのですが、その点も申出書に書き添えておくのが無難です。

最近では増床の交渉も重要になってきました。増床については組合の権利変換基準に記載されていますが正確に理解して使いこなすことが必要です(最近では特定分譲されるケースもあります)。組合の配布資料だけからはわからないことがあります。

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